銀河径一郎 小説、物語の部屋

銀河径一郎による不思議な物語、怖い話、面白い小説、ファンタジーなど。

最近、寒くなってきました。寒いとひざ掛けでもかけてますますPCに
かじり付いたままじっとしてませんか?
朝の4時まで読み物している○さん、執筆にもゲームにも余念の
ない○さん、そういや腰が痛いと以前言ってた○さんもそうかな?
固まった格好でいると、下肢の圧迫による下肢の静脈のうっ滞と
水分不足による血液粘度の上昇がおこり、血のかたまり「血栓」が
できてしまいます。
いわゆるエコノミークラス症候群の初期ですが、危険はこれに限ったこと
ではありません。脳梗塞、心筋梗塞の危険が増します。

血栓にならないようドロドロの血をサラサラにする必要があります。

簡単な対処法は
☆毎日、ナットウキナーゼの宝庫納豆を食べる。

 しかし、毎日はなかなか大変ですね。
☆寝る前に水または白湯を飲む。
 これはできそう。ただトイレが気になる人はちょっとね。
☆ミミズの酵素を摂取する。
 購入するのが面倒ですね。
☆医師の診察を受け血栓治療薬を処方してもらう。
 いや、それほど大げさではなくて予防できればいいんです。

 そこで簡単に入手できて納豆より安い素晴しいアイテムがあります。

 それは頭痛薬として有名な「バファリン」です。
 某ジェネリックから出てる「バッサニン」(笑)でも成分は同じです。

 これらにはアスピリンが含まれていて、血栓を溶かす作用があるのです。
 なにしろ実際に病院でもお手軽な血栓予防薬として使われてるんです。
 これは大人2錠となってますが1錠で十分で、頻繁に飲む必要はありません。
 私は週に1錠くらい飲んでます。
 医薬品ですので、禁忌事項を読んでから自己責任で試して下さい。
 特にショックに過敏な方や、出血性疾患では副作用にご注意を。



写真は、ソフアに横になり、ネコ耳美少女ロボットに口述筆記させている筆者
と、血栓予防の効果がある薬の説明書と箱

buffa 
尚、奉仕の心で、CM代はいただいておりません(笑)



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 トランプマンは黒いサングラスに野球帽といういつもの外出の格好で大きなショルダーバッグを下げて最寄り駅に降り立った。

 今日の依頼は地方の児童養護施設『春郷ビーホーム』だった。寄付があったらしく意外にギャラもよかったので、トランプマンは喜んで引き受けたのだった。
 タクシーで聞いていた住所に向かうと、一見すると幼稚園のようなクリーム色の建物が見えてきた。トランプマンがタクシーから降りるとまもなく、建物から白髪混じりの女性が出て早足に近寄って来た。
「こんにちは、トランプマンの太郎助です」
「わざわざありがとうございます。私は院長の重藤森子です。さ、こちらへ」
 トランプマンは院長の案内で8畳ぐらいしかない職員室に通された。
「こちらで生活してるのはどういうお子さんですか?」
「ええ、親を失くしたり、棄てられたり、経済的に養えないという18歳以下の児童を23名預かっています。中心は小学生ですね」
「そうですか。それでショーの前に少しメークしないといけないんですが」
「ここでどうぞ。メークしてる間は私がドアの前に立って誰も入れません」
「ありがとうございます」
 トランプマンは院長が出てゆくと、サングラスと帽子を取って、顔を白く塗り、唇に大きめに口紅を差して、金色の目開きのアイマスクをつけた。
 
 ショーの場所は体育室兼食堂の広い部屋だ。真ん中に子供の机がひとつあり、それに向かって椅子を並べて子供たちが座っている。
 トランプマンが登場すると子供たちは拍手と歓声で迎えた。
「みんな、こんにちは。トランプマンです。
 今日はね、みんなにトランプを使ったマジックを楽しんでもらうために来ました。
 さあ、さっそく始めようと思うんだけど、最初にみんなの中から一人、今日の僕の助手になってほしいんだけど、やりたい人はいるかな?」
 すると三分の二ぐらいの子供たちが「はい、はい」と叫びながら手を挙げる。
「じゃあ、そこの青いシャツのきみ」
 トランプマンはその中から一人の男の子を選んだ。
「きみの名前は?」
「陽太」
「よし、陽太君、じゃ僕の言う通りにトランプを動かしてくれるかい」
 陽太はトランプマンからトランプを受け取った。
「さあ、今度はそこの黄色いトレーナーの女の子、ちょっと前に来てくれるかな」
 女の子が前に来るとトランプマンが聞く。
「きみの名前は?」
「彩華」
「うん、じゃあ彩華ちゃんは今陽太君の持ってるトランプをよっつに分けてテーブルに置いてくれるかな」
 彩華は陽太のトランプをよっつに分けてテーブルに置いた。
「じゃあ、陽太君、まず一番左の山を全部持って、上から三枚を山があったところに戻して、他のみっつの山に一枚ずつ乗せよう。そうだ。それで手にあるのを全部一番左へ乗せる」
 陽太はトランプマンを見て「これでいいの?」と聞く。
「いいよ、次に、左から二番目の山を全部持って、上から三枚を山があったところに戻して、他のみっつの山に一枚ずつ乗せよう。そうだ。それで手にあるのを全部左から二番目へ乗せる」
 陽太はトランプマンに「できました」と報告する。
 同じように左から三番目の山と四番目の山も繰り返して陽太がやり終えるとトランプマンが言った。
「さあ、陽太君、ここでおまじないだ。トランプの上を手でまほすようにして呪文を唱える。ちちんぷいぷい、みんなエースになあれ」
 陽太は言われる通りに山の上空を手で撫でるようにして呪文を唱えた。
「ちちんぷいぷい、みんなエースになあれ」

「よし、よっつの山のてっぺんを一枚ずつひっくり返してみんなに見せよう」
 陽太は一番左の山のトランプを一枚めくって自分で驚いた。そしてみんなに見せる。
「スペードのエース」「すっごーい」「手品みたい」
 陽太は二番目の山のトランプを一枚めくって、みんなに見せる。
「ダイヤのエース」「すっごーい」
 拍手が起きた。
 陽太は三番目の山のトランプを一枚めくって、みんなに見せる。
「クラブのエース」「すごいよー」
 拍手が起きた。
 陽太は一番右の山のトランプを一枚めくって、余裕で笑みを浮かべて見せる。
「ハートのエース」「揃ったー」
 トランプマンは陽太の手を取って高く持ち上げた。
「助手の陽太君のマジックでしたあ、拍手」
 照れる陽太に、割れんばかりの拍手が送られた。
「じゃあ、陽太君は席に戻って続きを見ててくれ」

 いよいよトランプマンのマジックの始まりだ。
 腕の上に並んだトランプがを踊るよう動いたかと思うと、一瞬で赤い裏地が青くなる。 わあと歓声が上がる。
 次にトランプを一人の子供に渡してめちゃくちゃに切らせる。
 それをトランプマンは受け取ると腕の上に伏せて伸ばす。
 ちょっと端を跳ね上げると、ドミノ倒しならぬドミノ起こしのようになって、しかも順序よく赤マークのカードは赤の数字順、黒マークのカードは黒の数字順に並んだ。
 拍手と歓声の嵐だ。
 次に一人の子供にトランプを選ばせて切ったトランプを、目隠ししたまま放り投げ、ダーツの矢を投げる。
 するとストンと音が響いて、ダーツに一枚のトランプを串刺しにして矢が刺さる。
 選んだ子供が矢を引き抜くと、それは自分がさっき選んだ矢だ。
 大喝采が沸き起こった。 
 トランプマンのショーは子供たちに不思議と感動を与えて大成功の裡に終わった。

 トランプマンは帰り際に陽太を手招きした。
「陽太君、お疲れ様、何か出してほしいものがあるかい?」
 トランプマンのポケットには飴玉とミニカーとトランプがある。
 すると陽太は照れながら言った。
「お母さん」
 それはどんなマジッシャンでも不可能に思える。
「そうか、お母さんは僕も出せないけど、いつかお母さんに見せてあげれるように、トランプマジックの練習をするといいよ」
 そう言ってトランプマンがトランプをプレゼントすると陽太は嬉しそうに頷いた。
「うん、ありがと、トランプマン」

 ◇

 テレビ局のプロデューサーがトランプマンを呼んだ。
 数人のマジシャンが競演する特番に出演する、その打ち合わせだ。
「たろすけちゃん、出来たらさ、新しいネタが欲しいんだよね。他局でやってないようなやつ、なんかない?」
 なんとまあ我が侭な要求だが、トランプマンはあれをやろうと思いついた。
「じゃあ素人の男の子を一人使いたいんです。それと事前に予算をもらえますか?」
「うん、マネーカムヒア、面白いやつ頼むよ」
 プロデューサーは懐からポンと札束をひとつ出してトランプマンに渡した。

 ◇

 二ヵ月後、いよいよマジック特番の収録の時が来た。
 養護施設『春郷ビーホーム』から呼ばれた陽太はトランプマンの助手として、この前友達の前で見せた、みんなエースになるマジックを立派にしてみせた。
 それは知っているひとにはたいしたことないマジックなのだが、小学生の陽太が真剣にやり遂げたことはスタジオの観客の心を捉えて、ADが頭上でまわす台本以上の拍手を呼んだ。
「陽太君でした」
 トランプマンは陽太を紹介すると、インタビューする。
「陽太君には夢があるんだよな?」
「うん、僕は今は児童養護施設にいてお母さんはどこにいるかわからないけど、いつか本当のマジッシャンになってすごいマジックをお母さんに見せてあげたい」
 思わず観客が涙を浮かべて鼻をすすった。
「そうなるといいな」
 トランプマンはそう言って、ノートと同じぐらいの大きなトランプを取り出した。
「陽太君、このトランプから一枚選んで自分にも誰にも見せないように持っていて」
 陽太は一枚抜くと自分の胸に押し当てて誰にも見えないようにした。
「では、これから観客席にトランプを投げます。拾った方はステージに上がって来てください。行きますよ、イチ、ニの、サン」
 トランプマンの手からトランプが十数枚放り投げられ観客席の中にふわふわと舞い降りた。
 近くにトランプが来た観客はそれを拾って立ち上がり、ステージに集まった。
「さて、これはマジックじゃなくてゲームです。ハートのエースを引いた人はハートのクイーンを引いた人に願いを叶えてもらえるんです。さあ、ハートのエースを引いた人はトランプを頭の上に上げて見せてください」
 陽太が「あっ」と言ってハートのエースを頭の上に上げた。
「お、陽太君か、僕の隣においで。さあ次はハートのクイーンを引いた人はトランプを頭の上に上げてください」
 すると30ぐらいの女性が緊張のためか赤い顔をしてハートのクイーンを掲げた。
「さあ、こちらへどうぞ」
 女性がトランプマンのそばに来ると、トランプマンが言った。
「ようこそ。KYじゃないですよね?」
 トランプマンが聞くと客席から笑いが漏れ、女性は黙って頷いた。
「番組の流れは読めてますよね?」
 客席から笑いが漏れ、女性は再び頷いた。
「今から陽太君がお願いを言うので多少無理でも叶えてあげてください。はい、陽太君お願いをどうぞ」
「え、わかんないよ」
 何も教えられてないためただ戸惑う陽太に、女性が膝を床について抱き寄せた。
「陽太、ごめんなさい」
「どうしたの」
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「陽太君、この人が陽太君のお母さんなんだよ。お母さんは大変なことがあって仕方なくまだ生後六ヶ月だった陽太君に手紙をつけて『春郷ビーホーム』の玄関に置いたんだよ。でも今までずっと後悔して心配してきたんだ」
 陽太は泣いている母親の顔を見て、伝染したように泣き出した。
「お母さん」
「陽太君、願いを言ってごらん」
「うん……もう僕を放さないで」
 二人はひしと抱き合った。     了




 まあ、もとが、ムチャ振りですからこれぐらいで(^^;

 ちょっと練習すればすぐできるマジック!
 ネットに公開されてた4枚エースのカードあてを少し難しそうに見えるよう工夫してみました。
 エースと3と5と7と9の5枚×4柄の20枚のカードをあらかじめ取り出す。そのうちダイヤの3と5と9は戻す。この17枚を真ん中あたりのマークで全て下向きに揃えてからシャッフルして元の山に乗せておく。あとは上の15枚程度をテーブルに並べてお客さんに一枚指差してもらいます。そしてその一枚を横向きに出してお客に向け上げる時にさらに半回転する。すると上向きでお客はカードを確認します。そこで「よく覚えて」と言って戻します。そして最初の15枚ぐらいは束にしたまま残りのカードを切ります。それを終えたらずらりと自分でカードを広げて問題のグループで一枚だけ上を向いているカードを見つけ、それがお客の引いたカードになります。
 52枚中15枚だけ残して切るのが無理なら最初の17枚だけのカードでしてもそこそこオーケーでしょう。
 ポイントはトランプは顔絵のある札の全てを始め、殆どが上下のないカードですから誰も上下なんて気にしないことです。17枚だけは上下があるんです。


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「銀盤上の初恋はサイダー味だったのさ」 後編

 ◇

 2月の終わり。
 僕がいつものように少し早く家を出て公園に行くと、いつものように紺の制服を着た莉利が雪だるまの前でうずくまっていた。
「おはよう」
 僕が声をかけたのに、彼女は黙って首を横に振った。
「莉利、どうした?」
 僕は初めて彼女の名前を呼び捨てにしてた。
 莉利は僕を見上げると、抱きついてきた。
 僕はどぎまぎしながら、そっと、それからしっかり莉利を抱きしめた。
「どうしたの?」
「竹志」
 莉利も初めて僕の名前を呼び捨てにした。
「私が逃げたいって言ったら、私を連れて逃げてくれるよね?」
 莉利の目から今にも涙が溢れそうだった。
「もちろんだよ。僕と莉利の仲だもの」
 僕が言うと、莉利は頷いて、ほっと笑顔を浮かべた。
「ありがと」
 そして莉利は僕の唇に自分の唇をさっと重ねてさっと離した。
 それから莉利は駆け出した。
 その日、莉利は学校に来なかった。でも大丈夫だ。僕は確信していた。
 
 ◇

 3月に、僕ら中学2年はスケート授業があった。学校から歩いて20分ほどのところにあるスケートリンクに向けて歩いてゆく。
 みんながコートやオーバーを着て寒くない格好をしている。そして女子には転んでも大丈夫なように、ジャージの上に撥水性の雨合羽のズボンを穿いてる子も沢山いた。ただ莉利はいつものように前の学校の紺のブレザーとスカートだ。ただいつもと違うのは髪の後ろををゴムで止めているところだ。僕は莉利と並んで歩いた。一応、もうキスはしたんだから、本当は手をつなぎたいところだったけど、黒岩に嘘をついた手前それはできないでいた。
 スケート授業といいつつも堅苦しいことはない。最初に教師に気をつけて滑りましょうと言われて、後は団体でスケート靴を借りて好き勝手に滑るだけなのだ。
 僕はスケート靴を履くとヨチヨチと歩いてリンクに向かおうとした。

「竹志君、滑るの得意?」
 莉利に聞かれて僕は頭を横に振るしかなかった。
「全然。内緒だけど、僕の両親はペンギンだったんだ」
「そっか。じゃ、私が手を引っ張ってあげるよ」
「そういえばもっと寒いところで育ったんだね。スケート得意なんだな。
 ただ申し出は嬉しいけど、引っ張ってもらっても滑れる感じがしないんだ」
「じゃあ、私の滑りを見ててね」
 莉利はそう言うと、リンクに飛び出したかと思うとすいすいと滑って行った。
「へえ、ほんとにうまいなあ」
 僕はどんどん小さくなってゆく莉利の後ろ姿を見送ると、リンクの外壁に手をついておそるおそる氷の上に立って、一歩一歩進んだ。
 この一歩は小さな一歩だが、ペンギンにとっては偉大な一歩だ。
 僕がそう考えながら、滑るというよりはヨチヨチ歩いていると、後ろから莉利の声がした。
「竹志、がんばって」

 シャーというエッジが氷の表面を擦ってゆく音とともに、莉利は足をゆっくりクロスさせてバックになって僕に手を振るとすいすい滑ってゆく。
 僕の前でペンギン仲間と成り果てていた黒岩とその子分川谷が唸った。
「稲葉ってすげえな」「スケートうまいんだな」
 黒岩は思い出したように僕に言った。
「おい、木原、稲葉は難病じゃなかったのかよ?」
「そ、その、薬を飲んでれば女は平気なんだよ」
「そういうことか」
「ああ、だけど男はキスなんかしてみろ、72時間の命だ」
 黒岩は頷いた。
「木原は可哀想だな。俺は稲葉でなくてもいいけど、お前は稲葉しかいないだろ?」
 僕はドキっとした。確かにそうかもしれない。
 僕は莉利じゃなきゃだめかもしれない。
 急に叫びたいと思った。
 その時、前にいた黒岩と川谷が僕の後方を見て大声を上げた。
「稲葉」「うあー」
 僕が振り向くと、莉利は肩幅に開いた足を180度に近く逆向きに開いたまま滑走し、そのまま後ろに上半身を大きくのけぞらしていたのだ。
 莉利の微笑む顔は僕のすぐ脇を通り抜けざまウィンクした。
 なんてサプライズな滑り方だろうと感激した僕は、その技をイナバウアーと勝手に名づけることにした。

 リンクの向こう側まで達した莉利はカーブをまわると、右足を後ろに高くゆっくりと振り上げた。
 えっ。
 僕は絶句した。
 スカートより足が高く上げられたってことは後ろからはパンツまる見えじゃないか。
 そ、それ、それは二人きりなら嬉しいけれど、僕以外の野郎どもに不要な餌をばら撒くだけだ。そんなサービスする必要あるのか。
 そもそも僕は野郎どもと一緒になって莉利のパンツを覗いていいのか、悪いのか?
 僕は突如突きつけられた難問に脂汗を浮かべて苦しんだ。

 その時、僕のそばの外壁に手をついていた派手なスタジャンの女が声を上げた。
「誰よ、あのコ。上半身は水平、両足は180度、中学生とは思えない、美しい正確なアラベスクスパイラル!」
 もしかしたら女はここに付属するクラブのコーチかもしれないと僕は気づいた。
 莉利は足を跳ね上げたまま、僕らの前を滑走して行った。
 僕は目を手で隠して、指の隙間から莉利のスカートを覗いた。
「なんだ白い短パンかよ」
 黒岩のがっかりした声と同時に僕はほっとした。
 さっきのコーチが拍手を始めた。
 僕や黒岩のペンギン組も拍手をすると、あちこちで皆が足を止めて莉利のスケーティングに注目して、拍手を送った。

 莉利はバックスケーティングで向こう側に達するとリンクの内側に入った。
 今やスケートリンクは莉利のショー状態だ。
 莉利はつま先立ちになってこちら側に踏み出す。
 女コーチが声を上げる。
「トウステップからロングアクシス。セミサークル」
 莉利はゆるやかな弧を描いてゆくが、さっとエッジを乗せ替える。
「うまい、サーペンタイン、がんばって」
 今度はさっきの逆の弧を描いてゆく。
「スリー、いいわよ、その調子」
 次第に莉利はこちらに近づいてきた。

 そこで莉利は小さくジャンプして右足を腰の高さに保ったままスピンに入る。
「フライングキャメルスピン、このコは基本が出来てるわあ!」
 コーチが言うと、くるくると規則正しい回転を重ねた莉利はいったん足を下げたかと思うと、背中にまわした両手でスケート靴のエッジの支柱を掴んだ。
「まさか、ビールマンスピンを?」 
 莉利は両手でエッジの支柱を掴んだまま、足を背中にゆっくり跳ね上げ、その場で回転する。まるで腕と足で出来た鳥かごの中に莉利の頭があるように軸がぶれない。
「最高! こんな完璧なビールマンスピンをうちのリンクで見たのは初めてよ!
 信じられないわ!」
 女コーチは興奮していた。
 いや、誰もがその美しいスピンに感動していた。

 くるくると回転した鳥かごはゆっくりとなって花びらが開くようにばらけ、足をおろした莉利はこちらを向いて静止した。
 莉利は紺のスカートの裾を持って、片足を後ろに下げ、お姫様のお辞儀をした。
 リンクのあちこちから歓声と拍手が沸き起こった。

 莉利は笑顔で滑りだして僕に向かって投げキスをした。
「木原、お前、稲葉とキスしちゃえよ。死んでもいいじゃん」
 黒岩は羨ましそうに言った。
「ああ、いいね」
 僕はまだ感動に震えながら真剣にそう思った。

 ◇

 3月に入っても僕の幸せな日々は続いていた。
 毎日、公園で雪だるまをメンテナンスする。だんだん雪が少なくなってきたので、僕は木立の陰に雪をストックしておいた。
 そして学校で莉利と目を合わせ、雪だるまについて囁き合う。
 僕は莉利との平和で期待に満ちた日々はずっと続くと信じていた。たとえ雪だるまが溶けて消えたとしてもだ。

 だが、終業式の日、莉利は来なかった。
 担任は説明した。
「みんなにお知らせがあります。稲葉さんは家庭の事情により昨日、転校しました。みんなにありがとうと伝言してこの街を去りました」
 
 昼前に終業式の行事は済んで、僕はまっすぐ公園に向かった。
 もしかしたら、もう一度そこで莉利に会えるかもという儚い願いを握り締めて。
 だが、そこにも莉利はいなかった。
 何気なくコートのポケットに突っ込んだ手に莉利にもらったキャンディーが触れた。
 僕はそれを口に放り込んで舐めた。
 何も言わずに消えるなんて、一体どんな理由だよ。
 サイダーの味がした。
 僕はひとまわり小さくなった雪だるまをずっと眺めていた。   了





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「銀盤上の初恋はサイダー味だったのさ」 前編

 毎年、冬になると僕は女子フィギュアスケート中継に釘付けになる。
 2003年の全日本選手権、女子では前人未踏の安藤美姫の4回転サルコウジャンプを見て興奮した。トリノオリンピックではポイント加点されないにも拘らず荒川静香の見せてくれたイナバウアーにうっとりし、金メダルに歓喜した。浅田真央が舞った「仮面舞踏会」は高さのあるジャンプ、安定したスパイラルに加え、リズムに乗った激しいステップが圧巻で素晴しく完成度の高い、僕の見た範囲で最高のフィギュア演技だったと思う。
 僕がこんなにフィギュアスケートのファンになったのには理由がある。 

 ◇

 僕は田舎の中学2年だった。
 明日から三学期が始まるという1月のある日、雪は8センチほど積もっていた。
 夕方、僕はダッフルコートの襟に亀みたいに頭全体を引っ込められたらいいのになと思いながら歩いていた。風が冷たいのだ。 
 近くの公園にさしかかった時、見たことない紺の制服のブレザーとスカートの女の子が雪玉を転がしていた。たぶん雪だるまを作るつもりだ。
 彼女は手袋とブレザーの下にセーターは着けていたが、コートもマフラーもしない格好は見てるだけで寒くなりそうだが、女の子は微笑を浮かべてバレーボールぐらいになった雪玉を転がしていた。
 見たところ、雪玉はまだひとつだ。

 僕は公園に入って野球のボールサイズの雪玉を握ると、それを転がし始めた。
 女の子は雪だるま作りの協力者が現れたことに気づくと、さらに雪玉を転がした。
 僕が夢中になって雪玉を転がしていると、女の子が言った。
「早めにこっちに来て。大きくなりすぎると持ち上げられないよ」
「うん」
 僕は頷いて雪玉を女の子の雪玉に向けて転がして行った。
 僕が女の子の雪玉に辿り着くと、女の子の姿がなかった。
 だけど心配はいらない。
 僕はひとかかえある自分の雪玉を持ち上げた。そして女の子の雪玉の上に乗せる。
 下になった女の子の雪玉が、僕の雪玉より大きくてバランスはバッチリだった。
 僕は眺めて一人悦に入った。

 まもなく女の子が戻ってきた。
 女の子は雪だるまの顔に小枝で眉毛をつけ、枯れ葉で目をつけ、プリンの空容器で鼻をつけた。
「口はないの」
「キティも口がないのよ」
 ここで僕は初めてまじまじとと女の子と見つめ合った。髪は長めだけど前髪と脇の髪は工作用のはさみで適当に切ったような感じだ。目は切れ長で頬が少し赤らんで唇は小さかった。
「久しぶりに雪だるまを作ったよ、ありがとう」
 僕が言うと、女の子も言った。
「久しぶりに雪だるまを手伝ってもらったよ、ありがとう」
 僕は笑みを浮かべた。
「その格好で寒くないの?」
「私はもっと寒いとこにいたから平気なの」
「なるほど。家は近所なの?」
「うん。あなたも近所なの?」
「うん」
「手を出して」
 僕が手を出すと、彼女はブレザーのポケットから何かを取り出して乗せた。
「手伝ってくれたお礼よ」
 見ると包みにくるまれたキャンディーだった。
「ありがと」
 僕はそれをコートのポケットにしまった。
 そして、僕たちは名前も聞かずに別れた。
 
 ◇

 翌日は天気がよかった。
 教室に担任が女の子を連れてきた。紺の制服のブレザーとスカートのあの女の子だ。
 彼女は僕と目が合ったが、表情は変わらなかった。
 僕も驚かなかった。南国のひとは知らないと思うけど、子供用の手袋には、左右の毛糸の手袋が離れ離れにならないように毛糸でつないだりするのがあるのだ。つまり僕と彼女がそれだ。同じ毛糸でできていて、つながっている。運命ってやつだ。

「稲葉莉利です。よろしくお願いします」
 彼女はそう名乗った。
 用務員のおじさんが机を運び入れて僕の机の隣に置いて、莉利はその席に着いた。
「まだ溶けてないよ」
 莉利が囁いたので、僕も囁いた。
「枯れ葉、目が落ちてたからまたつけておいたよ」
 その時、気がついたが、僕は莉利相手だとすごく自然に喋れるのだ。他の女の子相手だといろいろ考えてからでなきゃ喋れないのに。やはり運命ってやつだ。でもそれは双子みたいなものなのかもしれない。

 体育前の休み時間、女子のいない体育館でガキ大将的存在の黒岩が僕に絡んできた。
「木原、お前、転校生のリリィとひそひそ話をしてるじゃねえか、なんだよ?」
 僕は困った。そして黒岩たちを莉利に近づけたくなかった。
 僕は嘘をでっちあげることにして、頭を回転させた。
「実は、あの子を、その、あの子が大学病院の特殊病棟に入るところを見かけたんだ」
「だからなんだよ?」
「絶対秘密を守るって誓えるか?」
 僕はわざと勿体をつけた。
「ああ、誓う。誓うから教えろ」
 僕は「絶対秘密だぞ」と言ってから、黒岩の耳にそっと囁いた。
「あの子は難病なんだ。セル、セル、セル破裂性タジ、ドゥヌスとかっていってな。これが辛いところなんだけど、エッチはもちろんキスしたり手を握ったりすると難病が感染する。しかも男がかかると細胞が連鎖的に壊死して72時間以内に全身が腐って死ぬ確率が高いんだ。だからあの子を好きになってはいけないんだ。わかったか?」
「そ、そうなのかよ、可愛いのにな」
「お互い、惚れてしまいそうで辛いよな」
 僕はがっくりと肩を落としてみせた。
「ば~か、俺は稲葉なんかに惚れねえよ」
 黒岩は疫病神から逃げるように僕の前から走り去った。
 ふっ、黒岩は腕力はあるが頭は弱いからな、これで莉利に近づくことはないだろう。
 僕は安堵した。

 ◇

 僕と莉利は毎日、登校前と下校後に公園の雪だるまの手入れをした。
 天気のよくなりそうな日は、コートを着せるように雪だるまの頭と体に新しい雪をくっつけて補強した。それで太陽に照らされても致命的なダメージを受けることなく、雪だるまはそこにい続けた。
 1月が終わり、2月になった。
 僕はバレンタイン・デーに密かに期待した。
 莉利は男では僕とだけ親しかったと思えた。莉利が他の男と話してるのを見たこともなかったし、莉利が他の男に見惚れているようなこともなかった。
 きっと莉利はこう言うのだ。
 こういうのって腐れ縁かもね、だけどいいの、貴方が好きだから。
 そう言って莉利は僕にプレゼントを渡し、僕はその手を離さないのだ。そしてセル破裂性タジドゥヌスもなんのその、莉利とキスする。
 その予定だった。

 だからその夕方、僕は公園でずっと雪だるまをメンテナンスしていた。
 莉利は普段通りにやってきて、いつものように雪だるまの少し窪んだところを見つけると雪を足して押し固めた。
 少し垂れ下がった眉毛の小枝をきちんと直して、僕に微笑んだ。
「これでいいよね」
「うん、いいね」
 僕がさあ来いと念じながら答えると、莉利は呆気なく言った。
「じゃあ、また明日ね」
「あっ」
 僕の驚きに気づきもせずに、莉利は公園から出て行った。
「莉利は行ってしまったよ、どうして?」
 僕は雪だるまに問いかけたが、返事はなかった。

[銀盤恋サイダー] 後編 に続く)



これは誰かさんの「フィギュアスケート」というムチャ振りで書いてます。
書き始めたら長くなっちゃったので前後半に分けますよ。

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 牛場刑事はその家の居間の押入れで息を殺してそいつが現れるのを待っていた。
 その犯人は既に判明しただけで百軒近くの家に不法侵入を繰り返しているのだ。
 最初はその犯人が家を選ぶ特定の理由はないと思われていた。地域もバラバラでいくつかの市や町を飛び歩いている。家主の年齢や職業にも法則性は見出せなかった。
 だが、ある几帳面な被害者の申告により、犯人が毎回、ささやかな窃盗を重ねていたことが判明したのだ。そして被害者の共通項も。

 そこで牛場刑事は次に狙われる確率の高いこの家の主と妻に事情を話して、押入れで張り込んでいる。
 
 台所のあたりで突然鍋らしき音がカタガタと鳴った。窓から侵入したのだろう。
 牛場刑事は心の中で「来やがったな」と呟いた。
 しばらくして床のきしむ音がひとつして、居間の襖が静かに開く音がした。
 そして箪笥の引き出しが引き出される音がする。
 引き出しの中をがさごそと探す気配が伝わる。

 牛場刑事はそっと押入れを開けて声をかけた。
「久早凪さん、そのまま動かないでくれ。ようやく会えて嬉しいよ」
 久早凪と呼ばれた男は両手を挙げてゆっくりと振り返った。もちろん別に拳銃で狙いをつけているわけではないから手を挙げるのは大げさだが、それで静かに観念してくれればとりあえず捕り物が崩れる心配は消える。
「もう逃げられないからな」
 牛場刑事がそう言う通り、他の刑事たちが廊下から、庭に面したサッシから踏み込んで来た。そして久早凪の手に手錠をかけた。

 ◇

 取調べ室に入ると久早凪純は落ち着いて見えた。
「茶でも飲もうや」
 牛場刑事が言うと、久早凪は「はあ」と返事した。
 もう一人の刑事が湯飲みを久早凪の前に差し出すと、久早凪は両手で湯飲みを持ち上げた。
「いただきます」
 久早凪は旨そうにお茶を飲むと言った。
「あの、俺の目的はばれたんですか?」
「ああ、条野内智恵子って知ってるか?」
「あ、同じクラスで、三つ編みの子でした。いつも机の定規で測ったみたいな位置に左に筆入れ、右に消しゴムとハンカチを並べていましたっけ」
「他の被害者は気づかなかったが、その条野内さんが盗まれたものに気づいた」
「几帳面な性格でしたからね、僕の野望は潰えたんですね」
「野望とはまた大げさだな」
 牛場刑事は笑った。
「でもどうしてこんなものなんか盗んで集めてたんだ?」
 牛場刑事は久早凪の部屋から押収したものを指差した。それは中学校の卒業文集だ。今は証拠物件としてビニール袋の中に入っている
 すると、久早凪は一気に告白した。
「僕は三ヶ月前に居酒屋の前で喧嘩してしまい人を殴りました。そしたらその人が倒れて翌日のニュースで死んだと知りました」
 牛場刑事はびっくりして訊き返した。
「それは何月何日の話だ?」
 久早凪が詳細を告白すると。一緒に聞いていた刑事が確認のために部屋の外に駆けて行った。
「で、それと卒業文集とどういう関係があるんだ?」
「だって、よくテレビや週刊誌なんかで殺人犯の卒業文集が出るじゃないですか。あれはどうしても避けたかったんです」
「そんなもんかな?」
 牛場刑事は手袋をはめてビニール袋から卒業文集を取り出し開いてみた。
「何組だ?」
「3組です」
 牛場刑事はページをめくって思わず笑った。

久早凪 純
 僕の将来の夢は、警察の捜査一家の刑事になって泥ぼうをつかまえることです。

「いろいろ夢と違いがあるみたいだな」
 牛場刑事が言うと、久早凪は頷いた。
「はい、刑事ドラマ好きの父親は『太陽にほえろ』とかいうドラマの刑事柴田純に憧れてしまい、僕に純なんて名前をつけて。中学生の頃はまだ僕もその気だったんです。でも高校に進み反抗期に入ると一気に反動で不良グループに入ったりしました。それでも極道まではいかなかったんすけど。
 あ、間違いは、課が家になってて、捜査一課は殺人傷害担当ですよね」
「まあ、それもあるがな」
 牛場刑事は久早凪の顔をじっと見詰めた。
「一番大きな間違いは、久早凪さんはたいした報道されないだろうってことだ。
 その場の酒の勢いで素手で喧嘩したなら傷害致死罪で、殺人にはならない可能性が高いだろうよ。
 世の中じゃ残念ながらそれよりずっと悪質な殺人が何件も起きてるんだ。わざわざあんたの卒業文集をひもといて報道するほどマスコミも暇じゃないぜ」
「そ、そんなあ、さんざん苦労して186部まで回収してたのに」 
 久早凪はどっと疲れたように机に頭を突っ伏した。    了


 


この話はある方のコメレスのお言葉を元にして作りました、ありがとうございます(^^;

ファンには有名なこのシーン、松田優作演じる刑事の名が柴田純だそうです


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 探査機は青と緑に輝くその美しい惑星の重力圏に入った。

 探査機の人工知能は重力と大気の抵抗揚力を計算すると最適な面積に翼を開いた。
「鳥のように飛ぶってことを思い出したよ、大気があって翼で揚力に乗る」
 ドフォーヌ大佐が探査機のスピードを上げると、地上を眺めた助手席のメアリィア1等分析官が言った。
「素晴しいです、これだけ植物の繁栄している星はちょっと珍しい」
「ひゃっほーっ」
 ドフォーヌ大佐が探査機を横滑りさせて横九十度の態勢にしてはしゃぐと、助手席のメアリィア1等分析官が涙声で言った。
「大佐、気持ち悪いからまっすぐ飛んでください」
「失敬、君の重力耐性能力を忘れてた」
 そういうと重力に対してまっすぐに機を立て直した。しかし、天地が逆さまなので血が頭に集まり出す。
「ふざけないでください」
「わりぃな、久しぶりの揚力飛行だから感覚がな、今、直す」
 探査機は上下に大きく百八十度ターン、水平にも大きく百八十度ターンして上向き同方向になった。 

「約7千アルパン前方の緑の色がやや薄いところに降りてください」
「了解」
 探査機は広々とした草原の上で空中停止するとゆっくりと高度を下げて着陸した。
「なんだ、この大気は俺たちの母星に似てるじゃないか。気密服なしで歩けそうだ」
「だめですっ。もし危険なガスが発生したらどうするつもり?」
「ガスなんて俺を避けて通るさ」
 ドフォーヌ大佐はそう嘯いたが、制服の下の認識タグに埋め込まれたスピーカーが警告を発した。
「任務逸脱警告、任務逸脱警告、任務逸脱警告」
「うるさいな、一度言えばわかるよ」 
 ドフォーヌ大佐は渋々、メアリィア1等分析官同様に気密服にヘルメットを装備した。 二人はドアを開くと梯子を降りて地上に立った。

 ◇
 
「久しぶりの地面だな」
「この一面の植物は面白いですね。他の植物が殆ど侵生していない」
「よっぽど住みにくい土地なんだろ」
「いい勘かも」
 メアリィア1等分析官は背負ってきたボーリング銃の先端を地面につけると引き金を引いた。小さな衝撃音が響いた。彼女は銃の分析画面を注視する。
「755キュビットまで到達、深いですね、下は柔らかい砂のようです。なあんだ、深さ1キュビットほどにゲル状の化学物質層を確認。これは砂漠に作られた人工の草原ということです。もっとも化学物質はせいぜい二百年で劣化と予測」
「いきなり人工草原とは興ざめだな」
「でもいいじゃないですか、平和そうな星だもの」
「そうかね?」
 二人は再び探査機に乗り込み、星の大陸を飛行した。

 やがて大陸から離れた大きな島の洞窟に文明の遺跡を発見した。
 そのコロニーは楕円状の壁で包まれていた。ハッチを開けると800アルパンほどの空間に20キュビットほどの長さのカプセルがずらりと並んでいる。
 近づいてみるとどうやらカプセルの中に横たわるのはこの星の住人らしい。
「私たちそっくりですね」
「びっくりだな」
「こんなに似た宇宙人がいたなんて驚きです」
 その姿は大佐や1等分析官と同じに見える人種で男性も女性もいる。
「このカプセルは冬眠用か?」
「継続型生命維持装置が組み込まれてます。おそらくカプセルの中の人は天変地異によるシステムダウンは別として、テロメアの限界まで生きるでしょう」
「こんな棺桶の中で?」
「その方が文明の維持存続に都合がいいと判断したのかもしれません」
 ドフォーヌ大佐はカプセルの隅に浮き彫りになっているメーカーロゴをなぞった。
「古い文字がついてる、なんて発音するんだ?」
「そんな短い単語だけでは判断できません。こっちのマニュアルすべてを読み込んでみたら発音が推定できるかも」
 メアリィア1等分析官はカプセルの袖に乗せられていた分厚いマニュアルを立体スキャナーで一気に読み込ませた。
「分析結果が出ました、その文字の発音は、ト、ヨ、タですね」
「ふうーん、古風な響きだな」
「マニュアルの開発経緯によると、どうやら文明が崩壊しかけて、この生命維持装置で生き延びることに決めたようです」
「つまんないだろ、冬眠して生きるなんて」
「夢はリアルに見れるから、中の人は現実を生きてるか、夢を生きてるか区別がつかないはずだとマニュアルに書いてあります」
「なんだかなあ。
 しかし、待てよ。自分の好みの巨乳姉ちゃんと毎日エッチできるならそれもいいか」
「今の発言、セクハラです」
 ドフォーヌ大佐の認識タグのスピーカーが警告を発した。
「1等分析官の申告を認定。逸脱発言警告、逸脱発言警告、逸脱発言警告」
「うるせっちゅの」
 ひと通りコロニーの中を歩くと二人は探査機に帰った。

 ◇

 探査機の乗員は二人のみだ。
 操縦席の後方は居住区となっていて、真ん中のテーブルをはさんでシェードのついたベッドがあり、バストイレの共用個室がひとつある。
「大佐、ちょっと、またお湯を湯船の外にこぼしたでしょ」
 メアリィア1等分析官は個室から顔を出して怒るが、大佐は気にかけない。
「大丈夫だよ、床にこぼれた分はまた循環再利用される仕組みなんだから」
「いつも言うけど、足元がべちゃべちゃしてて気持ち悪いの」
「細かいな、それで君が風邪を引くってのなら気をつけるけどな、どうでもいいことに芽キャベツを炒めるなよ」
「たくっ、野蛮人」
「おたんこかぼちゃ」
 いつものように喧嘩が繰り広げられるが、認識タグのスピーカーが二人を宥める。
「どちらも任務に必要な優秀な人材、両者の建設的な和解を提案、両者の建設的な和解を提案、両者の建設的な和解を提案」
 そこで、二人はどちらからともなく暴言を収める。
 やがてメアリィアがバスローブをまとって出てくるとドフォーヌは謝る。
「ちょっと言い過ぎた」
「あ、私も」
 メアリィア1等分析官はそう言いながら照れくさそうにベッドに入りシェードをおろしてドライヤーで髪を乾かす。  
 ドフォーヌ大佐は半透明のシェードにぼんやりと映るメアリィアの姿を眺めると、自分もベッドに入って眠った。

 ◇

 翌朝、宇宙連合会議から特上級のアイコンのついた命令書が届いた。
「特上級なんて出港してから初めてだ」
「何かしらね」
 特上級の命令は暗号紙に印刷してみないと内容がわからない仕掛けになっている。
 プリンターから命令書を引き出すとドフォーヌ大佐は読み上げた。
「ドフォーヌ大佐、メアリィア1等分析官は直ちに探査を終了し」
 ドフォーヌ大佐は読むのをやめて、メアリィア1等分析官に命令書を手渡した。メアリィア1等分析官は続きを読んでショックを受けた。
「その星に永住し、その地で子孫の繁殖に努めるように命ずる、ってどういうことよ」
「俺と君でこの星に住んで子孫を増やせってことだろ」
「人権侵害も甚だしいわ。個人の人生をなんだと思ってんのよ」
「まったくだ。こうなったら連合を相手に一匹、じゃなかった二匹タイガーになって戦うか?」
「気分はそうなんだけど、戦うというより捕まってアルカトラズ星の処罰房に入れられるだけじゃないの?」
「まあな、こっちは探査機だから武装も線香花火みたいなレーザー銃一門だし、冷静に判断して勝ち目はない」
「仕方ないわね、涙を呑んで不潔な野蛮人の貴方と結婚してあげる」
「仕方ないな、俺は結婚相手は巨乳と決めてたんだが、特上級命令とあればおたんこかぼちゃでも我慢するか」
 ドフォーヌ大佐が言うと、メアリィア1等分析官は怒る。
「ひとをおたんこかぼちゃだなんて、そんな言い方ないでしょ」
「お前だって不潔な野蛮人って言ったじゃないか」
 するとそこで、認識タグのスピーカーが二人を宥める。
「どちらも任務に必要な優秀な人材、両者の建設的な和解を提案、両者の建設的な和解を提案、両者の建設的な和解を提案」
 二人は顔を見合わせて笑った。
 おもむろにドフォーヌ大佐が切り出した。
「あのな、実は出港前の訓練センターからその、なんだ、お前にひと目で惚れてた」
 メアリィア1等分析官は驚く。
「えっ、全然気づかなかった。いつも喧嘩ばかりだったから、好きなのは私の一方通行だとばっかり」
「何だよ、それ」
「もしかして、それをお見通しの人選だったりして」
「やられたな」
 二人が激しく抱擁したのは言うまでもない。

 かくして、ドフォーヌ・アダムとメアリィア・イブは彼らの先祖がそうであったようにその星の歴史を二人で再び始めることとなったのであった。  了




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 その日は文化の日だった。
 ランチを食べてホラー映画を観た後、僕と妻は文化に親しみを持つべく古本屋に立ち寄った。
 しかし「戦争と平和」も「カラマーゾフの兄弟」も「同時代ゲーム」も「羊をめぐる冒険」も「姑獲鳥の夏」も「灼眼のシャナ」も「図書館戦争」も途中で挫折した僕としては読みたい本などないのである。
 妻は推理ミステリーの小説が好きなので棚をあちこちと移動しながら物色していたが、なかなかいいものはなかったようである。
「今日は文化の日だし、来たのが遅かったかもね」
 妻のそう言う声に落胆が表れていた。そういえば棚はところどころ抜けて、本が隣によりかかっている。名の通った本は既に漁られてしまった後なのだろう。
「じゃあ帰るか?」
「うーん、もうちょっと」
 妻がそう言った時だった。

 僕らの後ろ、腰の高さから女の子の声がした。
「じゃあっ、あたしがぴったりのご本を探してあげるよ」
 振り返ると、つぶらな瞳の小学校低学年ぐらいの女の子がおもちゃの魔法スティックを抱いてにっこり微笑んでいた。ピンクのデザイントレーナーにピンクのスカートの女の子は、開いた口から覗く小さな白い歯も可愛らしい。
「ほんとに? じゃ、お願いしようかな」
 膝を折って子供目線に近づいた妻の嬉しそうな声に、彼女もひと目で女の子が気に入ったのだとわかる。
「いいわよ、任せて」
「ありがと、私は里子、お嬢ちゃんのお名前は?」
 妻が聞くと、女の子はピンクの星形の中にハートの絵がついた魔法スティックをくるりと回転させた。そして続いて、自分自身もその場で足を交差させてくるりと回転した。
「あたし、マジカル天使サーシャなの」
 僕と妻は目を合わせて微笑んだ。そして小声で囁きあう。
「この子可愛いね」
「うん、可愛いな」
 妻は普通の声に戻って言う。
「そうか、サーシャさん、可愛いお名前ね」
 妻が言うと、マジカル天使はふと目をつむった。そして魔法スティックを前後左右に振ったかと思うと、突然、妻の手を引っ張った。
「こっちよ」
 マジカル天使は妻を引っ張って走り、僕も後について行った。
 やがて図鑑のコーナーに立ち止まると、マジカル天使は魔法スティックを三回振った。
 そして、ある本の前でぴたりと魔法スティックを止めた。
「はい、お姉さんはこれ」
 妻が棚から引き出すと、その大判の本はフランス料理の指南書だ。パラパラとページをめくると写真も出ていてわかりやすそうではある。これで料理下手な妻が進歩してくれたらいいなと思ってると、マジカル天使は再び魔法スティックを前後左右に振った。
「おじさんはこっち」
 マジカル天使は今度は僕の手を取ったが、僕はクレームをつける。
「おじさんじゃなくてお兄さんだろ」
「いいから早く早く」
 マジカル天使は僕の手を引っ張って駆け出した。

 辿り着いた棚は古いCDのコーナーだ。
 マジカル天使は魔法スティックを三回振った。
 そして魔法スティックで一枚のCDを指した。
「おじさんはこれ」
 ケースを見るとアメリカのカントリー&ウエスタンのようだが、ミュージシャンも曲名も全く知らない。
 それでも可愛いマジカル天使が選んでくれたのだから、気に入らないCDでも一度は聞いてみようと思ってマジカル天使と手をつないでレジに向かった。
 妻は既にレジでお金を払って例のフランス料理入門を受け取るところだった。
 僕も金を払ってCDを受け取った。
「ありがとう、サーシャ」
「マジカル天使さん、またね」
 僕らが礼を言うと、マジカル天使はにっこり笑って魔法スティックで僕らを指してくるくるさせた。

 ◇

 スーパーに寄って家に帰ると、妻は夕食の用意を始め、僕は普段使ってないプレイヤーを引っ張り出してマジカル天使が選んでくれたCDをかけてみた。しかし、CDは回転してるにもかかわらずまったく音楽は流れて来ない。なんだよ、せっかくあの天使が選んでくれたのに壊れたCDか。ひどい店だな。ま、百円だし、被害はないに等しいが。
 僕はがっかりして剣道の試合をぼんやり眺めて時を過ごした。

 鍋物の夕食を終えると、妻は古本屋で出会った天使のことを話題に上らせた。
「あの子、可愛かったよね、自分でくるっと回ってさ、超可愛かった」
「ああ」
「ああゆう子供欲しいねえ」
 妻の攻撃を僕は「うん、まあね」と流して反撃する。
「それよりフランス料理、期待していいんだろね?」
 妻はブッと噴き出しそうになった。
「フランス料理なんか無理よ。ああいうものはね、たまにお店で食べるから美味しいの。自分で作って失敗したら食べられない上に材料費がムダになるのよ」
 僕はがっかりした。
「なんだ、作る気ないならあの本を買うなよ」
「だって、あんな可愛い子が選んでくれたら買わない訳にいかないっしょ」
「まあな」
「だから今夜は子供つくろ!」
 僕は妻の今晩子作り宣言にたじたじとして抗議した。
「あっ、明日は朝から会議だし、俺は虚弱体質なんだぞ」
 
 それから風呂から上がると僕はパソコンタイムに入り、妻は仕方なくフランス料理の本を読み出したようだった。
 真夜中に近づきパソコンタイムを終えた僕が寝室に入り、ベッドに横たわると妻は言った。
「フランス料理、ひとつぐらいチャレンジしてみるわ」
 僕は驚いた。
「その変わりっぷり、どしたの?」
「えへへ、実はね、あのフランス料理入門、最後のページに帯が入っててさ」
「うん」
「それを開いたらなんと一万円札が出て来たの」
「えっ、すごいなあ、さすが天使だね」
 僕はにやにやしながら言って、エッチモードで妻のパジャマを脱がしにかかった。
「あなたこそ、どうしたの?」
「う、うん、お前が料理頑張るなら俺も子作り頑張るよ、ギブアンドテイクだ」
「なんかよくわかんないけど、そういうことなら」
 妻はそう言って目を閉じ唇を突き出した。
 
 あのCDを念のためパソコンで再生してみたら、僕の興奮ツボぴったりのどスケベDVDだったのである。素晴らしい天使である。   めでたしめでたし




えー、フランス料理入門の本か、カントリー&ウエスタンのCDを探しております(笑)

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 ある晩、車で帰宅途中、僕が小さな川にかかるもどり橋にさしかかった時のことだ。
 欄干によじ登る女性の影が月光に浮かんだ。
 身投げだ。間違いない。
 僕は急ブレーキをかけ車から飛び出た。

「だめだ」
 欄干に駆け寄った僕は昔、何かの映画で観たように、その彼女の頬をひとつぴしゃりと打って、彼女の肩を引き寄せて助手席に押し込んだ。
 僕は映画のタイトルを思い出そうと考えながら車を再び走らせた。
 彼女は頬を押さえて泣くばかりだ。
 僕はその映画のタイトルを思い出すのをあきらめて言った。
「あそこはいつもは水深が10センチぐらいしかないんだ。
 あそこに飛び込んだら、溺れる前におでこが割れて死んでしまうよ。
 それでもよかったのかい?」
 僕は笑いながら言ったが、残念ながら彼女は笑ってくれなかった。
 どうしてだよ、このジョークがわからないとは。
 僕はこれが暗澹たる思いってやつかなと考えてみた。

「もっと深い川に連れていってください」
 彼女が言うと、僕はすぐに返した。
「深川鍋食べに連れてって?」
「あの、ダシャレ系は苦しいので許してください」
「うん」
 僕は頷いてストレートに訊いた。
「じゃ、身投げなんて非日常的な事を試みたのはどんな理由で?」
 すると彼女は俯いて告白した。

「私、オオカミ女なんです」

 僕は息を呑んだ。
 そういや今日はたしか満月だ。かなり手強いぞ。
「わかった。シェーバーと脱毛クリームを買って、ホテルに篭ろう。オオカミの毛が生えてきたら僕が片っ端から剃ってあげるよ、そしたら君はオオカミにならない」
 僕は力強く言ったが、彼女はやはり笑わずに弱々しく頭を横に振った。
「そんなのいいです。やっぱり、私のウチに連れてって下さい。それからひと晩だけそばについていて下さい。図々しくてごめんなさい」
 僕はどう答えていいかわからず黙り込んだ。

 ◇

 彼女の部屋は20分ほど走ったところのマンションの最上階だった。
 彼女は鍵を開けると、歩きながら上着を廊下に脱ぎ捨て、ブラウスを脱ぎ捨て、スカートを脱ぎ捨て、パンストを脱ぎ捨てて、バスルームに入った。
 僕は奥の部屋に入った。ベッドをよっつぐらい置けそうな広さのワンルームで、僕の部屋よりずっと家賃は高そうだ。
 僕は緑のソフアに座って借りてきたライオンのように吼えてみた。

 しばらくすると彼女はバスルームのドアをちょっと開けて言った。
「すみません、バスタオルを取ってもらえますか。あとバスローブも。窓の反対、一番隅のドアを開けるとありますから」
 
 バスタオルをターバンのように巻いてバスローブをまとった彼女は焼きうどんを作ってくれた。彼女は化粧を落としたのにも拘らず、車で俯いていた時より綺麗に見えた。
 二人でソフアに並んで黙って食べた焼きうどんは塩分が濃すぎた。でも僕は文句も冗談も言わずに、彼女の涙の味のような焼きうどんを食べた。
 それから僕はビールを、彼女は白ワインを飲んだ。
 そして彼女が僕に言った。
「変なことしたいなら12時までに終わらせてください」
 そして彼女はソフアにもたれて眠ったように見えた。
 しかし、変なことなんて言われたら変なことはしづらいという事を僕は初めて知った。 そういうつもりなら彼女はこう言うべきだった。
 自殺未遂記念に欲望のお祭りをしましょ。但し12時までね。
 
 彼女の寝顔を見ながら僕の胸の中で悪魔と天使が口論した。
 12時と区切るのは、やはりその時刻からオオカミに変身するに違いない。そしたら下手すると俺は食べられてしまうかも。だとしたら思い残すことがないよう、今のうちにこの世最後のスケベなことをしとくべきじゃないか。
 何を下劣なことを考えてるんだ。この女性は身投げするほど苦しんでたんだぞ。今もその苦悩は終わってないんだ。女性の感情の起伏に付け込んでスケベなことをするなんて漢として最低だよ。
 いやいや濃厚なスケベが女の心を癒すこともあるんだよ。
 アホこけ、そんな癒しなんか要らんわい。
 しかし俺の観たエロビデオは必ずスケベするぞ。
 お前のエロビデオのせいで真面目な男まで獣扱いされるんじゃい。

 結局、悪魔と天使の議論が延々と続くまま、時刻が12時5分前になったので、僕は彼女をお姫様抱っこしてベッドに寝かせた。
 そして「もうオオカミになってもいいよ」と囁いた。
 窓からは満月の光が差し込んで彼女の頬を照らし涙が光った。
 たぶん、彼女はずっと寝たふりをしていたのだろう。
 僕はそこでじっと彼女がオオカミ女に変身する瞬間を待ち受けた。
 しかし、なかなか彼女の頬には毛が生えなかった。
 満月の前を時々雲がよぎるので、彼女の頬は暗くなったり、明るくなったりした。
 僕はそれを眺めていた。
 
 どれぐらいたったろう。
 気がつくと僕は眠り込んでしまったようで毛布をかけられていた。
 まだ外は夜が明ける直前ぐらいの紺色の空だ。
 ベッドを振り返ると彼女の姿がない。
 まさか。
 僕はいやな予感がして部屋の窓を開けてみた。
 どうやら彼女は落ちてなかったし、箒も掃除機も落ちてなかった。
 僕はほっと溜め息を吐くと冷蔵庫を開けて、野菜&果物ジュースを飲んだ。
 それからソフアにかけてふだんは見る筈もない早朝のテレビをつけた。
 男の司会者は、ここでニュースを伝えてもらいますと言い、報道フロアの嶋野さんと呼びかける。
 女性アナウンサーが映ると僕は息が詰まった。
 それはここの住人の彼女だった。
「はい、政府は人事の難航していた行政監督会議の議長に嬉々打参議議員、嬉々打参議院議員を内定した模様です。
 赤ちゃん用品大手ベビー本舗と葬儀業大手のラストセレモニーが合併を発表しました。これにより文字通り揺りかごめから墓場、揺りかごから墓場までの総合企業になるものと思われます。
 新宿区西新宿の路上で元プロレスラー繁た茂、繁竹茂さんが殺されていた事件で、警視庁捜査一課第二強行犯捜査二課、強行犯捜査二係は彼女子プロレスラーメガトンヒップこと深水沢静江を殺人容疑で逮捕しました。
 今入っているニュースは以上です」
 男の司会者は笑顔で言う。
「昨日は三日連続で5回噛んでオオカミ女になって取り乱してたのに、今朝は噛んでも、なんだかさばさばしてますねえ、嶋野さん」
「オオカミになってもいいと言われて気が楽になりました」
「そんなこと言ったのは誰です?」
「知らないひとです。ですけどたぶんいいひとです。きっと、とても」
 そう言って嶋野香穂は微笑んだ。昨夜から僕の見た中で一番のいい顔だった。

 僕は大きなあくびをすると、もうひと眠りしてから仕事に向かった。
 途中、もどり橋を見ると欄干は陽光を受けて輝いていた。    了 



 今日はシリアスに攻めてみました ←(どこがや?)
 だって、会話も普通だった ←(どこがや?)
 最後は笑かそうとしてない ←(判断基準違うで)

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gingak
  • Author: gingak
  • 銀河 径一郎
    (ケイイチロー・ギンガ)
    好きな言葉は『信じる』。
    飛べなくても頭が悪くても
    地球人も宇宙人だ(笑)

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