銀河径一郎 小説、物語の部屋

銀河径一郎による不思議な物語、怖い話、面白い小説、ファンタジーなど。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ
 ◇ ◇ ◇

今、私はヒロキさんの家の玄関に立っている。

元気に見えるように、以前なら着なかった派手な黄色のワンピースを着ている。

髪は元の長さに戻った。

肌や唇は乾燥気味で保湿クリームを塗っている。

さっき、ヒロキさんは《会えるの楽しみに待ってるよ》とメールしてきた。

あ、そういえば、最初はなんて挨拶すればいいんだろう。

病院の廊下で顔は見ているわけだから、はじめまして、ではおかしい。

かといって、久しぶりです、というのも前回名乗ってないから少し違う。

困ったな。

そうだ、もしヒロキさんが私にキスしようとしたら、どうやって受ければいいんだろ?


私の中学時代のファーストキスは不意打ちだったから、参考にならないし。

やばいよ、またドキドキしてきた。


その時、ドアが開いた。

ヒロキさんのお母さんは微笑を浮かべてお辞儀した。

「遠いところをわざわざすみません」


「は、はじめまして、川津辺こころです」

私、思い切り勢いよくお辞儀した。


「狭いところですけど、あがってください」


お母さんに案内されて、リビングのソフアに腰をおろす。

「来てくれて嬉しいわ。

こころさん、白血病を克服されて退院されたそうですね?」


「ええ、まだ通院中ですけど、なんとか。

ヒロキさんが毎日、応援のメールをくれるから、頑張れたんです。

それがなかったら私、負けていたかもしれません。

だからヒロキさんにはいくら感謝しても感謝し足りないんです」


お母さんは、急に目に涙を浮かべた。

「そう、ヒロキのメールは毎日届いてるのね」


えっ?

私は違和感を感じた。

まるでヒロキさんからのメールが毎日届くことに感動したみたい。

そんなのたいしたことじゃないでしょ?


「あの、それでヒロキさんは?」

私がきょろきょろして尋ねるとお母さんがうなづいた。


「そうだったわね。

まず説明の手紙を先に読んでもらえるかしら。

実はヒロキは去年のゴールデンウィークの前あたりに状態が悪くなってね」


私は反射的に聞き返していた。

「それって、ゴールデンウィークの前の嵐の日ですか!」

あの日は私が生死の境をさまよった日だ。

まさか、運命の神様が私の代わりにヒロキさんを……?

とてもいやな考えが浮かんでしまい、私はその考えを振り払った。


「そう、確か嵐の日だったわね。

これ、あなたが来た時のために用意してあったヒロキの手紙なんだけど読んでみて」


お母さんから差し出された、便箋に印刷された手紙を、私は急いで読み始めた。


「こころちゃん、いらっしゃい!

いきなり手紙で説明してごめんよ。

家の者じゃうまく説明できないし、僕もうまく言えないから手紙にしたんだ」


どういうこと?

頭の中に疑問符がわいてくる。


「僕がウィリー・シドニーを名乗ったのは、アメリカの短編小説みたいなことを考えたからなんだ。


O・ヘンリーという小説家がいる。

彼の本名がウィリアム・シドニー・ポーターなんだ。

ウィリアムの愛称はウィリーかビリーが普通だからウィリー・シドニーにした。

(つづく)



↓よろしければ、ひとつ、お好みをポチお願いします

 f_02.gif プログ村

 
10ヒロキの愛、こころの愛 4 へ

 
メルコイ 目次へ 


  ホーム トップへ
スポンサーサイト
このページのトップへ

FC2Ad

Information

gingak
  • Author: gingak
  • 銀河 径一郎
    (ケイイチロー・ギンガ)
    好きな言葉は『信じる』。
    『地球人も宇宙人』。
    写真はッシェル・ポルナ
    レフの真似です

    ↓よろしければ、おひとつ、ポチお願いします

Calendar

05月 « 2017年06月 » 07月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

 

新着はこちら!New!

全小説 ツリーリスト

最近いただいたコメントなど

アクセスカウンター

リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

twitter小説

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

最近のトラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。