銀河径一郎 小説、物語の部屋

銀河径一郎による不思議な物語、怖い話、面白い小説、ファンタジーなど。

「向こうもね、こころが病気だから遠慮してるけど、

本当はこころのこと抱きたいはずだよ。

こころだって、そういう気持ちあるでしょ」


サトミにそう迫られると、うなづくしかない。

「それは、まあ、ないと言ったら嘘だけどさ。

でもヒロキさんはそういう軽いのじゃなくて、もっと大人の感じなんだよ」


カオリが聞き返す。

「大人の感じって?」


「だから、言葉でチャラチャラするんじゃなくて、目で合図してスーて奪うんだよ」


カオリとサトミは笑いをこらえて言った。


「へー?」「スーて奪うのかあ?」


そこへメールの着信があった。


《そうか、そういう気分もあるよね。

僕も、こころのこと、ディープなキスして抱きたいな》

私はまず自分だけで見ようとしたのに、いつの間にかサトミとカオリが後ろに回り込んで盗み見された。


「きゃー、やだー!」「言葉でチャラチャラしてるう!」

「違うんだってば」

私は、二人にさんざん冷やかされてしまった。

だけど、まるで学校にいるように私に接してくれることが私にはありがたかった。



二人が帰った頃、歯科に呼ばれた。

免疫が弱い状態では虫歯の菌も手強い敵になるので、すでに治療済みだが、最終チェックをするのだ。

歯科から戻ると、マルクでおなじみの処置室に行った。


佐藤先生が真剣な顔で言う。

「さあ、今日は侮れないIVHだけど、頑張ってね」


IVHというのは、腕の血管ばかりに点滴していると血管炎になるので、点滴専用口を体に差し込むと昨日母親と聞いている。


「侮れないって?」


「うん、かなり痛いかも」


「麻酔するって言ったよね?」


「マルクで知ってるだろう、麻酔しても痛いことがある。ごめんな」


麻酔をして、鎖骨の下に針を刺し、静脈を探る。そしてもう一度今度はパイプを同じように刺すのだ。

これが、予想外の痛さ。あのマルクに負けないくらい痛いかも。

私は力を込めて目をつぶった。


「ようし、つかまえた」

数分すると、佐藤先生が「はい、終わったよ」と言ったので、目を開くと鎖骨の下にパイプが縫い付けられていた。


「先生、なんだか痛みがあるし、違和感もあるよ」

私が言うと、佐藤先生は困った顔だ。

「うーん、少し痛みが残るかもね、我慢して慣れてくれるかな」


私は仕方なくうなづいた。


こうして骨髄移植に近づいてゆくんだなと思いながら、私はヒロキさんに誓った。

きっと治ってみせるよ!


(つづく)



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gingak
  • Author: gingak
  • 銀河 径一郎
    (ケイイチロー・ギンガ)
    好きな言葉は『信じる』。
    飛べなくても頭が悪くても
    地球人も宇宙人だ(笑)

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