銀河径一郎 小説、物語の部屋

銀河径一郎による不思議な物語、怖い話、面白い小説、ファンタジーなど。

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しばらく私と車椅子の彼は黙って庭を眺めていた。


「詩人なら、こんな暖かな午後のひとときをうまく言葉にできるんだろうね」


彼はぽつりとつぶやいて、私を見て微笑んだ。


「ええ、ほんとに」


私が答えながらどぎまぎした。

微笑んだ彼はさらにヒロキさんの写真に似たからだ。


私はヒロキさんの親戚じゃないかと聞いてみようとしたぐらい。

その瞬間、携帯がブルルとメールの着信を知らせた。


開くと、ヒロキさんからだ。


《今日はとても気持ちがいいね。

今、こころちゃんのことを思いながら、陽ざしを浴びて、そよ風の景色を眺めている、

この瞬間の幸福を僕は忘れないよ。


こころちゃんも絶対に覚えていてほしい。

なぜなら、僕らが互いに想い合う、この瞬間は、永遠につながっているから。

僕はずっと愛するこころちゃんのそばにいるからね!》


照れるなあ。


私は、ゆるみまくりそうな顔を隣の車椅子の彼の手前、引き締めて返事を打った。


《ありがとう!

ヒロキさん、詩人ですねえ!


わかりました、絶対にこの瞬間を覚えておきますね!


愛してます!》


送信ボタンを押した私は携帯を胸に当てて目をつぶった。


それから、隣に彼がいたのを思い出して急いで携帯をしまって庭を眺めた。


すると車椅子の彼が言った。


「メールの相手は彼氏かい?」


私は堂々と答えた。


「ええ、彼氏です」


「もしも、もしもだよ、


君の彼氏がここにやって来たらどうする?」


私は思わず変な声を上げた。


「エーッ、それはいやですよ!


だって、薬の副作用で頭は毛がなくて帽子だし、顔はひとまわりもふたまわりもむくんでいるんですよ。

本当の私はもうちょっとほっそりして、今よりは見られるんです。


ちょっと今の顔は彼氏には見せられないですよ」


車椅子の彼は無言の息を飲んでうなづいた。

「……そうか。そうだよね。

副作用、大変なんだね、がんばってね」



(つづく)

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gingak
  • Author: gingak
  • 銀河 径一郎
    (ケイイチロー・ギンガ)
    好きな言葉は『信じる』。
    『地球人も宇宙人』。
    写真はッシェル・ポルナ
    レフの真似です

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