銀河径一郎 小説、物語の部屋

銀河径一郎による不思議な物語、怖い話、面白い小説、ファンタジーなど。

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こうしてサトミやカオリには相談できたけど、ヒロキさんにはメールできなかった。

ヒロキさんのことは大好きだし、初めて愛したと言っていい相手だ。


しかし、だからこそ、副作用で自分が女性として不完全になるなんてことは書けない。

そこだけ隠して打ち明けるのも後ろめたい。


結局、ヒロキさんには、夜になってから、さりげなにく今日の点滴の報告をメールした。

《こんにちは、第二段階の本格点滴が今朝から開始。


地固め治療とか呼ばれてるんだけど、なんだか変なネーミングでしよ。

流れ的に第一段階と同じで、薬で悪玉を叩いて、またクリーンルームで頑張って、ということらしいです。


ヒロキさんはどうですか?》


十分ちょっとでヒロキさんから返事が来た。


《また点滴なんだね。

点滴が悪玉をやっつけるイメージするといいかも(笑)

たしかに、変なネーミングだな。


こっちも薬のおかげでいい調子だよ!

こころちゃん、愛してるよ、一緒に頑張ろうな!》


いつものように嬉しい文面。

だけど、いつものように喜べない感じだ。


こころは寝付けなくて、足音を忍ばせて廊下を何度も往復してみた後、ナースセンターを覗いた。

そこにいたのはリカさん一人で、何か書類を書いている。


「お仕事?」

こころが尋ねると、リカさんは振り向いて微笑んだ。

「どうかした?どこか痛いの?」


「ううん、違うけど」

「よかったらこっちおいで」

リカさんに手招きされて、こころはナースセンターの椅子に腰掛けた。


「こころちゃん、眠れないんでしょ?」

「どうして、わかるの?」

「そりゃ、わかるわよ。悩みがあったら言っていいよ。

答えはできるかわからないけど、聞いてあげるから」


こころは嬉しくなって、最大の悩み、治療の二択について話した。


「治療なんだけど、一ヶ月か二ヶ月先に、薬だけにするか、骨髄移植するか、決めなさいて佐藤先生に言われたんだけど。


薬だけは治る確率がちょっと低いし、


骨髄移植はきつくて、将来赤ちゃんを産めないかもしれないの。


難しい二択でしょ、悩んじゃうよ」


リカさんはこころの目を見て答えた。

「うん、難しいよね。


病院にはいろんな患者さんがいるよ。

事故で手や足を失くした人もいるし、

病気で乳房や子宮をとらなきゃいけない人もいる」

こころがうなづくと、リカさんは続けた。


「でも大事なのは、それをすぐ治せるキズでしかないと受け止めて、未来の自分の人生を明るく描いてゆくことだと思う。


(つづく)

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gingak
  • Author: gingak
  • 銀河 径一郎
    (ケイイチロー・ギンガ)
    好きな言葉は『信じる』。
    『地球人も宇宙人』。
    写真はッシェル・ポルナ
    レフの真似です

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