銀河系一朗 小説、物語の部屋

銀河系一朗による不思議な物語、怖い話、面白い小説、ファンタジー、エッセイをお楽しみ下さい。

水曜日。

朝の検査で昨日に続いて白血球が1万キープしている。

そこでお昼前に、佐藤先生にマルクされた。

うう、やっぱり痛いよ〜。

ヒロキさんにメールでぼやいてみる。


《またマルクされました。

退院のためだと思って耐えましたよ。

これで退院できなかったらサー・ガッツに仕返しするのら》

五分ぐらいで返事が来る。


《えらいね。

と思ったら、仕返しって問題ありだよ(笑)》


《だってえ、それを目標に耐えてきたんだもの。

ところでヒロキさんの病気はどうですか?》


《うん、僕の方はまあまあ。

手術までしないで済むかもよ》


《それはよかったです》

と送信しかけてやめて、書き足した。


《それはよかった、安心しました。

大好きなヒロキさんの病気が大変だったら、私、困ります。

これからもいっぱい叱ってもらったり、応援してほしいです》


《オーケー、僕も大好きなこころちゃんのために、ずっと元気でいるよ。

一緒にがんばろうな!》


《ヒロキさん、ありがとう!》


携帯を見てると、窓際の翔子ちゃんの声が飛んできた。


「何ニヤニヤしてんの?気味悪いよ」

「あ、えへへ」

「彼氏とうまくいってんだ?」

聞かれたこころはもう否定しない。


「まあね、見せてあげる」

こころはヒロキさんの写真を翔子ちゃんに見せた。


「ふうん、まあまあだね」

意外とそっけない感想だ。

「まあまあじゃなくて、カッコいいよ」

すっかりヒロキさんに、のめり込んでいるこころだった。


夕方になって、佐藤先生と看護士のアカネさんが、にこにこしてやってきた。


「こころちゃん、おめでとう!」

「寛解だよ、マルクの結果、悪い白血球はほとんど見つからなかった。

第一段階は退院だよ!」


「ほ、ほんとに?」


「うん、得意のポーズを決めてよ!」

「サー!」

こころが拳を握ってガッツポーズする。

すると、佐藤先生やアカネさんも「サー!」と真似した。


ただ、私より先にクリーンルーム出たのに、まだ退院できない隣の翔子ちゃんに悪いなと振り向いた。


でも翔子ちゃんも笑いながらガッツポーズして見せた。

「お姉ちゃん、第一段階は私も早かったんだ、気にしないで」


佐藤先生が言う。

「とりあえず一週間の退院だけど、家でたまった宿題とかしておいで」


ひゃー、何も勉強のことなんて言わなくてもいいのに。

「佐藤先生、意地悪だあ!」

「うそだよ、たっぷり休んで、友達に会って遊んでおいで!」

ナースステーションでリカさんや他の看護士さんにもお礼を言った。

お父さんが迎えに来ると、こころは退院した。




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gingak
  • Author: gingak
  • ( ぎんが けい いちろう )
    イチロー・K・ギンガ。
    好きな言葉は『信じる』。
    信じるより計算が先立つ現代、『信じる』ことを取り戻したい!

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