銀河径一郎 小説、物語の部屋

銀河径一郎による不思議な物語、怖い話、面白い小説、ファンタジーなど。

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昼すぎ、こころは毛糸の帽子をかぶって病院内を散歩した。

外来と入院B棟をつなぐ廊下にベンチが点々と置いてあって中庭を眺めるのにちょうどよい。

こころはベンチに腰掛けてるおばあちゃんの隣に腰をおろした。

おばあちゃんは日向ぼっこしながら眠っていてこころは笑みを浮かべた。


廊下の向こうから若い男のひとの乗った電動車椅子が近づいてくるのが見えた。

こころはヒロキさんだったらいいなと思ってしまう。

すると、心に答えるように携帯がブルッた。

《こころちゃん、今回はデートできなかったけど、

僕はもう下見してきたんだ。

その時に撮った写真をメールしながら何枚も送るよ!

これから海辺に行ったつもりデートをしようよ》


わーい、嬉しい!ヒロキさん、大好き!


《ありがとうございます!

行ったつもりになりますね!

どこへ行くんですか?》

そう聞くと返事が来る。


《今回は千葉の房総半島の海だよ。

さあ、車に乗って、ドアを閉めて、出発ーっ!》


スクロールするとちゃんと赤い車の車内の写真だ!

ディズニーランドの写真、工場の写真、海が見えてきた。

すごい演出!

《ヒロキさん、もう海が近いね!》

返事が速攻で返ってくる。


《僕たちの目的地はもうちょっと先だよ。

今、車は館山をすぎて、滑るように走ってる》

車から見た道路、似たような写真が続く。

うーん、ちょっと退屈かも。

こころはおばあちゃんの向こうに車椅子を止めた男のひとをちらっと見た。

ヒロキさんの写真にちょっと似てるかも。

でも手には携帯もノートパソコンもないからヒロキさんの筈がない。


《飽きてきたかい?》

《ううん、ヒロキさんと一緒だから大丈夫》


《ほら、道の先が黄色いよ》

《え、何?》


《菜の花だよ、ここフラワーラインは道の両脇に花が植えてあるんだ》

道の両脇が細長い花壇になってて、黄色い菜の花が続いてゆく。

「わー、素敵!」

こころは思わず声を上げて、おばあちゃんを起こしてしまい、車椅子の男のひとにも笑われてしまい、慌ててうつむいた。

《この辺で車を止めて、海まで歩こう。

こころちゃん、手をつないだよ!》


こころは想像の中でポーッとなってしまう。

松林の先に、すぐ海が見えた。


《ほら、潮の匂いがつんとしてきた。

沖から白い波が寄せてくるよ》


《潮の匂いか、波の音が聞こえてきそう。

あ、私、貝殻みっけた!》

こころはアドリブで言ってやる。


すると、次のメールで本当に桜貝の写真が出て、びっくりした。


《ほら、桜貝、お守りにするといいよ》


《ありがと、今、手品みたいだったよ》


海の青と空の青が水平線でひとつになっている。


《こころちゃんのほっぺをそっとはさむように持つよ》

《えっ、何?》

《キスだよ、

こころちゃんの唇に僕の唇を重ねるよ、そっと》


一瞬、なんて返事したらいいかわからなかった。

でも、これしかないよね。


《chu!………》


不思議なキス!

想像なのにホントにされた気がした!

私とヒロキさん、心は通じているんだな。



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gingak
  • Author: gingak
  • 銀河 径一郎
    (ケイイチロー・ギンガ)
    好きな言葉は『信じる』。
    『地球人も宇宙人』。
    写真はッシェル・ポルナ
    レフの真似です

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