ヒロキさんかな、それともサトミ、カオリ、もしかしてお母さんと思いながら開けると、翔子ちゃんだった。
私より先にクリーンルームに入った翔子ちゃんは3日に一度くらいメールをよこしてたのだ。
《ヤッホー、白血球上がってクリーンルーム卒業だよ!
前の病室に戻ったよ。
明日はお家にお泊りだよ。
こころ姉ちゃんもがんばってね!》
私は速攻で返事する。
《翔子ちゃん、よかったね!
私も早く出て、退院できるよう頑張るよ!》
送ったとたんに、今度はカオリからメールだ。
《こころ、調子はどう?》
速攻で返事する。
《調子はいいところもあるけど微妙だよ。
点滴多いからおしっこは回数多いんだけど、副作用で便秘気味。
副作用でお腹はすくんだけど、無菌の食事はまずすぎ》
《ふうーん、副作用大変ね。
でも頑張ってね。
彼は告白の後、なんかまた言ってきた?》
私は照れながらメールを打つ。
《ありふれたことだよ。
ただ、彼、そういえば前よりメールまめになったよ。
前は、こっちがメールして1時間してから返事来るって感じだった。
今はさ、5分ちょっとで来るよ》
《そう、彼もこころちゃんがホントに好きみたいだね。
ボクの胸で休みなよみたいに言われるぞ!》
はっ、想像するようなこと言わないでよ。
《やだー
冷やかさないでよ》
《えへへ、のろけたくなったら、
メールしといで》
メールを終え、鏡を見た私は溜め息を吐いた。
「はあーっ」
顔はむくんで、残り少ない髪の毛がカッコ悪い。
コロコロでベッドに落ちた髪の毛を取りながらめげてくる。
私は書き上げた文章を、ちょっとためらってから、ヒロキさんに送信した。
《この土日、ヒロキさんに会えなくてよかったかもしれないです。
顔はむくんでるし、髪の毛はきたなく抜けて幻滅です。
だけど、ちょっとだけ会いたいです》
ヒロキさんの返事が来る。
《治療のために顔がむくんだり、髪の毛が抜けることなんて、
少しも恥ずかしがったり落ち込むことないんだぞ。
誓って僕は笑ったりしないから安心して。
記念に写真に撮っておけばいいよ。
そして元気になって元に戻った時、笑い話にしてやるんだ。
こころちゃんは絶対に大丈夫なんだよ!》
大きいなあ、ヒロキさんの包容力は!
こんな私でもどんどん勇気が湧いて来るよ。
そんなヒロキさんがますます大好きになってゆくこころだった。
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