私はいつものようにヒロキさんにメールで報告する。
《こんにちわ、こころです。
白血球が減って100未満、これからは薬で増やしていくそうです。
白血球が増えたらクリーンルーム出れるそうです。
私、元気になります!》
十分くらいでヒロキさんからメールが来た。
《こころさん、こんちは。
そう、元気そうで何よりだ。
退院の日はまだわからないの?
できれば今週中だと嬉しいんだけど》
《わかりました。
先生に聞いてみます!》
クリーンルームの看護士さんに頼んで佐藤先生に来てもらった。
佐藤先生も厳重なマスクをして、まるで映画の忍者の白いやつみたいで、笑える。
「お待たせ。
寂しくなって俺に会いたくなったか?
モテる男はつらいなあ」
佐藤先生、笑わせてくれる。
「その冗談は置いといて、退院はいつ頃か聞かれたんだけど、
いつですか?」
「白血球が普通より増えて、マルクで悪玉が見つからなければ第一段階は退院だよ。」
んー、こっちは「いつ」って聞いてるのに。
こころはもどかしくなる。
「で、それはいつ?」
「いつと聞かれると困るな。
人それぞれ治りのテンポは違うからね。
うんと早ければ金曜の夜、遅いと来週の後半ぐらい。
でマルクして悪玉が消えてない場合はまだまだ先だ」
「なんとか今週の土曜とか、日曜に退院できないかな?」
「マルクとかの検査は土曜はできないから、土日は難しいな。
なんか予定でもあるのか?」
そう聞かれて、私は頬が熱くなるのを感じた。
やばい、きっと赤くなってるよ。
「よ、予定なんてないけど、早く家に帰りたいの」
「ははあ、ホームシックか。
ここまでがんばってきたから、早く退院させてあげたいのは先生も同じだよ。
けど、もうちょっとの間、辛抱してくれるかな」
まさかデートだからどうしてもなんて言えないし、
「はあい」
私は心の中で、ぶうーと息を吐いた。
今週の退院は、金曜までによほど状態が良くなってクリーンルーム出ないと、無理っぽいな。
《ヒロキさん、超よくなれば金曜夜だけど、
普通なら来週みたいです》
すると十分ほどでヒロキさんから返事が来た。
《そうか……。
実は僕の方の入院、延ばし延ばしにしてきたんだけど、
そろそろ入院しろと医者に叱られたんだよ。
こころさん、来週の月曜ぎりぎりなんとか退院ならないかなあ、
そしたらパーとタクシーで行けるけど。
無理なら、また次の機会にしようね!》
あ、そういうことか。
私はそこまで考えがまわらなかった。
もう、泣きそうだ。
《どうしよう(泣)
せっかく誘ってもらったのに、ごめんなさい》
《こころさんのせいじゃないよ。
それによくなれば、たくさんデートできるじゃない。
僕はこころさんが大好きだよ!
浮気なんてしないから(笑)
安心して病気を治して》
あ、
あ、
あ、ここで来ました。
ヒロキさんからラブの告白……。
嬉しくて、嬉しくて、幸せ。
こころは携帯のビニール袋を胸にあてたまま、嬉しさでポォーと固まった。
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