《そうか。
隠してたなんて、あやまらなくていいよ。
いろいろ経過を聞いてて、もしかしたらそうなのかなとは思ってたんだ。
でもね、こころは大丈夫、元気になるよ。
私にもちょっとした秘密があるんだ》
こころは驚いて速攻で返事する。
《それって、まさかカオリも白血病?》
《あ、そうじゃなくて、
私の病人を見る直感がすさまじく鋭いの。
病院で病人を見ると助かる人と助からない人が大体わかるんだよ。
そして、こころを見たら、絶対助かる人だって感じた。
だから自信もって治してね!
そしてヒロキさんとラブラブになってね!
あ、私の秘密、内緒にしといてね。
それと自分も鏡で見て助かる人で安心したよ》
《わかった!
ありがと、カオリのおかげでまた元気が出てきたよ》
こころはホッとした。
親友二人に告白できたこと、応援の返事をもらえたことで、もやもやしてたものがスッキリした。
あとは早く退院しなきゃ。
昼近くなって母が面会に来た。
私はバンダナで髪の薄くなりはじめた頭を隠して会った。
面会といっても、クリールームの中には入れないで、ガラス越しにインターホンみたいな受話器で話す。
なんか映画に出てくる犯人の面会風で笑えた。
「がんばってるみたいね」
「うん、がんばってるよ」
「具合はどう?」
「聞いたら驚くよ」
「ええ、言ってごらんなさい」
「吐き気がするのに、お腹がすぐ空いてしまって大変なんだよ。
これって、おかしいでしょ?」
私が笑って言うので、母は安心したようだ。
「あんたの言ってたカップ麺、持って来てあげたわよ」
「おお、サンキュ、まずい食事ばかりだったから助かるよ」
「看護婦さんに渡しとくから、看護婦さんの言うこと聞くのよ」
「わかってるって」
「困ることはない?」
「とりあえずないよ」
「ほしい物は?」
「そうだな、お笑いとか、きみまろのDVDがあったら持ってきてよ」
「あんたがお笑い観るの?」
「サー・ガッツが、お笑いは…」
「それ、誰?」
「サー・ガッツは佐藤先生だよ、
お笑いは免疫力高めるからいいぞって言ってたの」
「そう、わかった。お笑いね」
話すことがなくなったけど、しばらく受話器を持ったまま見詰め合ってた。
なんだろう、話すことないのに、お母さんの顔、ずっと見ていたい。
「……じゃあ、そろそろ帰るね」
「うん」
母が受話器を置こうとしかけて、こころは慌てて叫んだ。
「お母さん」
母は慌てて受話器を耳にあてた。
私の口から自然と言葉が溢れた。
「ありがと、私を産んでくれて、
私、大丈夫だから、
必ず病気に勝つから、
安心して待っててね」
母は鼻のあたりを押さえて
「そんなの当たり前じゃない、帰るわよ」
そういうと母は受話器をおいて、振り向かずに帰っていった。
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