銀河系一朗 小説、物語の部屋

銀河系一朗による不思議な物語、怖い話、面白い小説、ファンタジー、エッセイをお楽しみ下さい。

朝早く、カオリにも白血病の告白をすると、すぐ返事が来た。

《そうか。

隠してたなんて、あやまらなくていいよ。

いろいろ経過を聞いてて、もしかしたらそうなのかなとは思ってたんだ。

でもね、こころは大丈夫、元気になるよ。

私にもちょっとした秘密があるんだ》


こころは驚いて速攻で返事する。

《それって、まさかカオリも白血病?》


《あ、そうじゃなくて、

私の病人を見る直感がすさまじく鋭いの。

病院で病人を見ると助かる人と助からない人が大体わかるんだよ。

そして、こころを見たら、絶対助かる人だって感じた。

だから自信もって治してね!

そしてヒロキさんとラブラブになってね!

あ、私の秘密、内緒にしといてね。

それと自分も鏡で見て助かる人で安心したよ》


《わかった!

ありがと、カオリのおかげでまた元気が出てきたよ》

こころはホッとした。

親友二人に告白できたこと、応援の返事をもらえたことで、もやもやしてたものがスッキリした。

あとは早く退院しなきゃ。



昼近くなって母が面会に来た。

私はバンダナで髪の薄くなりはじめた頭を隠して会った。

面会といっても、クリールームの中には入れないで、ガラス越しにインターホンみたいな受話器で話す。

なんか映画に出てくる犯人の面会風で笑えた。

「がんばってるみたいね」

「うん、がんばってるよ」

「具合はどう?」

「聞いたら驚くよ」

「ええ、言ってごらんなさい」

「吐き気がするのに、お腹がすぐ空いてしまって大変なんだよ。

これって、おかしいでしょ?」

私が笑って言うので、母は安心したようだ。

「あんたの言ってたカップ麺、持って来てあげたわよ」

「おお、サンキュ、まずい食事ばかりだったから助かるよ」

「看護婦さんに渡しとくから、看護婦さんの言うこと聞くのよ」

「わかってるって」

「困ることはない?」

「とりあえずないよ」

「ほしい物は?」

「そうだな、お笑いとか、きみまろのDVDがあったら持ってきてよ」

「あんたがお笑い観るの?」

「サー・ガッツが、お笑いは…」

「それ、誰?」

「サー・ガッツは佐藤先生だよ、

お笑いは免疫力高めるからいいぞって言ってたの」

「そう、わかった。お笑いね」


話すことがなくなったけど、しばらく受話器を持ったまま見詰め合ってた。

なんだろう、話すことないのに、お母さんの顔、ずっと見ていたい。

「……じゃあ、そろそろ帰るね」

「うん」

母が受話器を置こうとしかけて、こころは慌てて叫んだ。

「お母さん」

母は慌てて受話器を耳にあてた。

私の口から自然と言葉が溢れた。

「ありがと、私を産んでくれて、

私、大丈夫だから、

必ず病気に勝つから、

安心して待っててね」

母は鼻のあたりを押さえて


「そんなの当たり前じゃない、帰るわよ」

そういうと母は受話器をおいて、振り向かずに帰っていった。


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gingak
  • Author: gingak
  • ( ぎんが けい いちろう )
    イチロー・K・ギンガ。
    好きな言葉は『信じる』。
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