薬の副作用のせいで、お腹がすいてばかりいる。
しかし、アルミホイルに包まれた食事は、生もの抜き、発酵もの抜きで、熱しすぎで、控えめに言ってもすごくまずい。
吐き気で食べられないのも辛かったが、お腹がすいてるのにまともなものが食べられないというのも辛いのだと初めて知った。
何気なく頭をかいたら、前から少しずつ抜け始めた髪の毛がまとまって十数本抜けた。
薬の副作用で髪も抜けるとは聞いてたのにショックだ。
薬の影響がなくなればまた生えてくるのだから、心配ないと言われたのだけど、平気でいられるわけもない。
私は急にヒロキさんに、自分の顔のベストショットをメールしたくなった。
ヒロキさんに本当の私を覚えておいてほしくなったのだ。
こころはビニール袋に入った携帯のフォルダからベストショットを呼び出して、メール添付を選ぶ。
そして文面を打った。
《ジャーン、私の顔はこんなんです!
美人じゃないけど、
恥ずかしいけど、
よかったら覚えて下さい!
ヒロキさんはどんな顔ですか》
2時間近くしてヒロキから返事がきた。
《写メ、ありがとうです!
感想をひとことで言うと、
サー!
可愛いよ、こころちゃん!
思った通りの雰囲気だな!
僕のタイプかも(笑)》
タ・イ・プ!
私が?
こころは急にポーッとなった。
ヒロキさんにタイプって言われた!
夢じゃないよね!
《僕は写真あんまり撮らないし、笑顔のがなくて、困った。
パソコンの保存をひっくり返して見つけたのが、これ。
元気いっぱいで笑ってていいだろ。
撮ったのは、だいぶ古い、たぶん高1か中3だな。
こんなんで許してね》
そこにはたぶんサッカーのゴールネットの脇で笑ってるヒロキさんの顔があった。
髪が風になびいて、眉はそんなに細くないけど、目が涼しくて、白い八重歯が覗いてる。
けっこう、かっこいいよ!
私はさらにポーッとなった。
そして、自分の頬を両手ではさんで、うわごとのようにつぶやいてしまう。
「この熱は病気じゃないよ。
ヤバいよ!
佐藤先生でも治せない、恋の病がたった今、急激に重くなりつつありますよ!
どうしてくれるんですか?
シ・ア・ワ・セ!」
きゃっ!
私はひとり顔を隠して、ふと廊下側を振り返って誰もいないことにホッとした。
そしてメールを返した。
《ヒロキさん!
素敵ですぅ!
ヒロキさんもかなぁり、
私
の
タ
イ
プ
!
》
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