銀河径一郎 小説、物語の部屋

銀河径一郎による不思議な物語、怖い話、面白い小説、ファンタジーなど。

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入院して1週間が過ぎた。

吐き気のピークは越えたかも知れない。

午前、部屋にやって来た佐藤先生からクリーンルームの説明をされた。


「今のこころちゃんの状態は、薬が効いて、白血球がぐんと減ってきてるんだ。わかる?」

「ええ、なんとなく」

「普通ならなんでもない細菌やウィルスでも、今のこころちゃんには恐ろしい猛毒だ」

「はい」

「そこで、元気な白血球が元の数に戻るまで、悪い細菌なんかが入り込めない特別きれいな部屋に移ってもらう」

「わかりました」


「もうひとつ注意がある。薬の影響で、血小板もぐんと減っている。

血小板はどういう役目をしてるか知ってるかな?」

「ちょっと」


「うん、血を固めて、止めるんだ。

今のこころちゃんは、それが難しくなって、口内炎やアザになりやすいし、ちょっとぶっても大怪我と同じぐらい大変になる。

だから怪我をしないように、いつもよりしとやかにしないとだめだよ」

「ふ、そんなんできないよ。私、おっちょこちょいだし」

「でも、静かにするのが治療の一部なんだよ、がんばれ!」

「はあい」

「サー」

佐藤先生はガッツポーズをして、私を笑わせた。


クリーンルームはすでに翔子ちゃんが三日前から入っている。

いよいよこころもベッドのまま、クリーンルームの病棟に運ばれ、中に入った。

途中、翔子ちゃんの部屋らしい個室を通りすぎたが、カーテンで中は見えなかった。

そして私のクリーンルーム、トイレもある完全個室だ。


中は窓際がベッドで、廊下側半分は透明の厚いカーテンで仕切られている。

いつもよりすごい厳重なマスクをして、目だけだしたアカネさんが注意する。

「マニュアルは読んだと思うけど、私たちも普通は中には入れないから、なんでも自分でしてね」

「はい、わかりました」

「これはとっても重要だから忘れないで。

トイレとか立って頭がふらふらしたら、そっと体をまるめてうずくまってね。

無理して頑張って、倒れて脳内出血したら、それはかなり危険だから」

いつも優しいアカネさんに厳しく注意されて、さすがにドキッとした。

親ともガラス越しのインターホンでしか話せない。

クリーンルームにあるのは孤独な闘いなのだ。


なんて思って見渡すと、嬉しい発見。

テレビとCDラジカセ、DVDが病室に備え付けられている。

リモコンはビニールの袋入りだ。

携帯も絶対、取り出してはいけないと注意され、ビニール袋に入れて持ち込みできた。

厚いビニールの上からだと思うボタンがうまく押せなくて、大変な苦労をしてメールを打った。

《クリーンルーム入ったよ》

と簡単なメールを送ると、サトミから

《え、掃除してんの?》とボケメール。

普通はクリーンルームなんて知らないから無理ないか。

《大変そうね、応援してるからね、ファイト!》とカオリはいつも優しい。

熱は少しあったが、私はテレビを眺めたり、CDを聞いたりしてすごした。


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gingak
  • Author: gingak
  • 銀河 径一郎
    (ケイイチロー・ギンガ)
    好きな言葉は『信じる』。
    『地球人も宇宙人』。
    写真はッシェル・ポルナ
    レフの真似です

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