「どうだ?」
「うん、なんとか」
「この前も顔出したんだけど、ちょうどお前がなんかの検査で、父さんも仕事呼び戻されて会えなかったんだ」
「うん、ありがとう」
「ちょっと手ごわい病気らしいけど、母さんも父さんも応援するし、お祖母ちゃんも応援するし、絶対大丈夫だから安心して、病気を治せよ」
「うん」
「あ、溶けるところだった」
お父さんはカバンの中からカップのアイスクリームを出してくれた。
「食べれるか?」
「ありがとう、ちょうどよかった」
こころは早速アイスクリームを食べ出した。
「うん、思ったより元気そうで、安心したよ」
「なんか父さんの顔、じっと見るの久しぶり」
「うん。でも、小さい頃は毎日何時間もこころの顔を見てたんだぞ」
「ふうん、そうなんだ」
そうなんだ、最近は口もあまり聞いてなかったけど、私はお父さんに愛されて育ったんだなあと感じた。
お父さんのためにも病気を治して親孝行しなきゃなって気がしてくる。
アイスクリームが少ししょっぱくなった。
私は急いでアイスクリームをたいらげた。
「ありがとう、美味しかった」
「なんか欲しいものあったら、電話しなさい」
「うん、電話する」
「じゃあ、そろそろ帰るか」
「うん」
お父さんは私の頭を撫でると微笑んで、くるりと背中を見せた。
「あ、お父さん」
私が言うと、お父さんはまた振り向いた。
「うん?」
「お見舞い、ありがと」
「ああ、じゃあまたな」
お父さんは手を振って、病室から出て行った。
なんかとても嬉しかった。
こころはヒロキにメールした。
《こんばんわ、ヒロキさん!
夕食はまた吐き気がして、あんまり食べられなかったけど、
そしたら父さんが来て、アイスクリームもらったの。
美味しかった!
ヒロキさんは食べ物で何が好きですか?》
1時間ほどして返事が来ると、翔子ちゃんに気付かれないように毛布の中で携帯を開いた。
《こんばんは。
僕の好きな食べ物は平凡です。
ハンバーグとか、カレーが好きですよ。
アイスクリームとか甘いお菓子はあまり食べないな。
お父さん、来てくれてよかったね!》
私はすぐ返事をする。
《お菓子はあまり食べないのかあ。
大人って感じですね。
お父さんて、最近、あまり話したりしなかったけど、
私のこと小さい時、毎日ずっと見てたって。
なんか嬉しくなっちゃった。
お父さんに心配かけないためにも頑張ります》
ヒロキさんからの返事は消灯後に来た。
《そうだよ、こころさんはお父さんに愛されてるんだよ。
こころさんの頑張る気持ちがとても嬉しかった。
僕も親のためにも頑張るよ!
こころさん、おやすみ!》
私はおやすみとつぶやいて、想像の中でヒロキさんとおやすみのキスをした。
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