先生、それで入院期間はどれぐらいみればいいですか?」
「薬の効果を見ながらなので、最初にいつまでと断言できないんですが、
お嬢さんの年齢やいろいろ総合して、第一段階は早ければニ、三週間といったところかと思います」
私は溜め息を吐いた。
第一段階がそんなにかかるなんてやっぱり大変な病気なんだ。
「第二段階は、まだ残っている白血病細胞をとことん叩いてやっつけます。
入院して行う地固め療法を何回か繰り返し、通院で行う維持強化療法に入ります……」
それからも佐藤先生の説明は続いたが、急に全然頭に入らなくなった。
私は途中で気付いたのだ。
6割から8割が治るということは、少なくとも2割は治らないってこと?
私がその2割かも。
怖くなった。
もう少し手続きの話があるというので母は残り、こころは看護士さんに付き添われて小児病棟に戻った。
看護士さんはアカネさんといって28歳だ。
「こころちゃんも最初は不安だと思うけど、なんでも聞いてね。
そうすると安心できるからね」
「ありがとう」
そう言いつつ、私は一番不安なことを怖くて聞けないまま、病室まで戻ってきた。
翔子ちゃんや、さらに奥のベッドにいたもっと小さい子もいない。
「困ったこととかあったら、なんでもいいから呼んでね。
そのために、私たちがいるんだからね」
私は不安を打ち明けられない自分に腹が立ってきて、涙が溢れそうになった。
「大丈夫だよ。
ああ、見えても、佐藤先生、頭と腕はいいから」
私が少し笑うと、看護士のアカネさんは私の手を握った。
「きっとよくなるから、ね」
アカネさんが出て行くと、私はティッシュで頬を鼻をかみ、急いでヒロキさんにメールした。
《ヒロキさん、私、急性白血病なんだって(泣)
先生は6、8割治るとか言ったけど、2割は治らないってことでしょ。
ショックだよ(泣)
私、死ぬのかな……》
返事が来たのは1時間くらいたってからだ。
《メール読んだけど、すごくがっかりした。
こころさんが一緒にがんばろうって言うから、嬉しくて始めてるのに、
もう弱音を吐いて、死ぬのかな、だなんて!
まわりが死ぬかもと言っても、
こころさんには「私は絶対生きるの」って叫んでほしい!
僕の病気だって軽くはないんだよ、
けど僕はこころと一緒に生きる!
こころさんも「絶対、生きる」って思ってほしい!
応援してるぞ!》
読むうちに、カーッと胸が熱くなった。
ヒロキさんの真剣な気持ち、生きる力がビリビリ伝わってきた。
自分の弱さ、甘い考えが恥ずかしくて、私は声を上げて泣いた。
それから、返事のメールを打った。
《ごめんなさい、私、失礼なメールしちゃって!
私にはヒロキさんがいるからすごく心強いです!
誓います!
きっと私がんばって病気に勝ちます!
絶対勝ちますよ!!!》
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