小学校の朝礼で倒れるコを見ると、なぜ倒れるのか理解できなかったぐらいだ。
中学校からは卓球部に入った。
中村サトミとはその卓球部から一緒だ。
中学の修学旅行の時、旅館に卓球台があった。
皆でやることになったのだが、サトミはテニス部面には本気でスマッシュする。
「こっちは素人なんだから、手加減しなよ」
「前、卓球て簡単そうて言ったじゃん」
「言ったかもしんないけど」
「それに卓球はテーブルテニスだよ、素人じゃないっしょ」
卓球もずっと中腰で速い動きだから、真剣にやると、ハードなスポーツなのだ。
個人戦だとつまらないというので、卓球部の私とサトミはへたっぴさんと組まされた。
その時、私のパートナーになったのが、和田カオリだった。
カオリはピアノがすごく上手だが、運動は苦手なお嬢様だった。
カオリは羽子板のような球を返した。
すると相手のサトミも今度は打ちやすく返した。
楽しい思い出のひとつだ。
班も一緒だったので、その夜、私はカオリといろいろ話した。
カオリは小学校の頃はよく倒れていたと話した。
私は「倒れるってさ、どうなるの?」と聞いた。
「汗が出てきて、耳鳴りがして、
体の骨が溶けたみたいにへなへなになって、
急にまわりの世界が寝ちゃうのよ」
「まわりの世界が?」
「だって、私は寝る気はないもの、寝たのは、まわりの世界でしょ」
聞いてた皆が笑った。
サトミとカオリは私と同じ女子高に進んだ。
自然と、三人はよくつるんで遊びや買い物に出かけるようになった。
ところが、いつの間にか私の体に、病魔が忍び込んでいたようだ。
こないだの古典の時間、私は急にめまいと耳鳴りに襲われた。
少し振り返ろうとした私は椅子から右にバランスを崩した。
そして、カオリが話してたように、急にまわりの世界が寝ちゃった。
気がついたら保健室のベッドだった。
机を抱えたまま、椅子から床まで音を立てて倒れたらしい。
だが、私にはまったく倒れた記憶がない。
「たいしたことないと思うけど、安心のため大きな病院で診察してもらいなさい」
保健室の先生は笑顔で言った。
家に帰って、母に相談したら、
「本当に倒れたの?」と笑われた。
なにしろかかりつけの医者にさえ、ニ、三年に一度しか行かないひとなのである。
「うん、自分でも信じられないよ」
「大丈夫と思うけど、保健の先生が言うなら、明日、行ってきなさいよ」
母は言った。
2発病−2 に続く
メルコイ 目次へ
ホーム トップへ


